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偉丈夫
- 2013/10/04(Fri) -
久しぶりに病院に行った.




夕診時間である.




さらに大型台風が翌朝未明に島を直撃する、というときであった.




私の例の内臓の薬を、飲まないでもいいや、とおもって滞っていたところをもらいに行ったのだ.




* * * * * * * *



医師と無沙汰のあいさつをして、会計を待っていたら、



車椅子の入院患者が自動販売機に来た.私のすぐ横である.



彼は私より年長で、よれたパジャマと寝癖のついた頭と無精髭であった.



百円をいれて自販機を見て呆然としている.



30ある自販機の品物のうち、百円で購入可能ランプがついたのは、水とポカリスウェットの小さなボトルだけだった.



私は、彼の左脚が膝から下ないことに気づいた.



そして、頭にも障害が?……などと心配になった私は、彼に、「この二つが買えますよ。どちらですか。私が押します」と尋ねた.



彼は、「おれがほしいのは右のほう」



と言ったので、私は右側の清涼飲料のほうのボタンを押した.



しかし、落ちてきたボトルを見て、彼は、「ちがう。おれがほしかったのはオロナミンCなんだ」
と述べた.オロナミンは最上列右端であった.



「右端」 を 「右のほう」 という語法はありうる.誤った言い方ではない.



私は自分の過失を認め、しかし、



「あなたが入れたのは百円ですから、水とそれしかランプがつかなかったんです。オロナミンは百十円です」



と述べた.彼は私の言うことの一部だけに価値を認めたのか、自分の車いすの座布団の下をまさぐって百円硬貨を探しだした.



「これはあんたにやる。ええと……、買うつもりで、百十円あるはずなんだが……」



「あるんですか」



「十円ある。ちょっとみてくれんか」




片脚のない彼を持ち上げると、尻の下に十円硬貨が座布団の上で恐縮していた.



彼はそれを追加投入して、無事に所期の飲料を買い求めた.



「これはおまえにやる」 さらに彼は最初に買ったものを私に突き出した.



「いいですよ。だれかお見舞いに来た人にでも」



「いいから!」



年輩者にこう言われたら、従うしかない.




名前を呼ばれたので会計に行ったら、受付の女性が、「あのおじさんやさしいから」 と私に微笑んだ.




私は彼のところに戻り、小さなボトル飲料をもらい、彼の名前と病室の階をきいた.





「台風が来るんだろう。クルマが走れなくなる前に、あんたはもう帰れ」




私は辞儀をして 「それでは、また」 と背を向けた.




20130915-130105.jpg

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コメント
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ちょっと暖まったよ。  台風くれぐれもお気をつけて。
2013/10/05 14:08  | URL | えつ #-[ 編集] |  ▲ top


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