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シチリアの Pietro
- 2016/05/05(Thu) -
まだ私がスウェーデンに行く前、
ライフイズビューティフル』 という邦題の映画を観たことがあった.
(映画についてはつとにご存じの人も多いだろう.)


そのころは、世界を知らない私で、イタリアも、そして、ドイツの場面になっても、所詮映画だから、
などとなんとなく普通にたいていの観客のようにその映画に 「感動」 して映画館を出たようにおもう.



このブログであちこちに書いているが、

私には、スウェーデンでは、

よき師、

よき女友達

が数々いたが、無論、

男同士いつまでもかわらぬ友情を、そしてそれをいまも信じられる友もまた.


Christian Kampitsch



Jonny Nilsson

のことは書いたことがある.


きょうは、

イタリア人の Pietro のことだ.



やつは、

顔は、日本人俳優の阿部寛と松方弘樹を合わせたような、いわゆる、目つきの鋭いいい男であった.

そのやつが、私たちのコリドーへウプサラ大学留学に来て、その晩、すぐに、私に尋ねてきた.

「スウェーデン人の女の子をおとすにはどうしたらいい?」





初対面の第一声でこんなことを他人に尋ねるやつがいたら、日本でならアタマがおかしいと思われるだろう.


しかし、このイタリア人の言葉は本当で、

私もそのころは、

イギリス人やフランス人の女の子の粋なノリのよさもわかっていたころだから、

こんなことを目を輝かせて微笑んで言うイタリア男にも、まぁ、びっくりはしなかったが、

それでも、


「おまえは、ばかか?」 とは即座に言ってやった.




── なんでそんなことをおれにきく?

── スウェーデン人の女の子のくどき方なんかスウェーデン人の男にきけるかよ

── まあ、確かにそれはあるが、しかし、ドイツ男もフランス男もいるだろう

── おれはおまえからききたいんだよ.おまえは日本人だし、教えてくれるだろう.

── ばか.いったい日本人をなんだとおもっているんだ.おれをなんだとおもっているんだ.あっちいけ.



などという阿呆極まる会話をしたのち、私とこの憎めないピエトロは仲良しになってしまったのだ.
(スウェーデン語を話せなかった彼との会話は、英語か、イタリア語の古語ラテン語であったが.)



やつは、最初、同じイタリアからの留学生の女の子とつきあっていた.

スウェーデン人の恋人は、いくらやつが美男でもそうやすやすとはできなかったようだ.

しかし、私たちコリドーの男たちは、スウェーデン人の男も含め、ピエトロのイタリア人の彼女がよくできている、とみな好感をもっていたものだった.

ところが、ある時、その彼女がふっつりとピエトロのところに来なくなった.

みんなが心配して、キッチンでもピエトロがいないとピエトロの彼女の話をしたりしていた.


そこで、私が、みんなを代表して、ピエトロに、彼女は最近来ないが、どうなった、と尋ねた.


── 別れたよ.捨てた.


それがあっさりしたやつの言葉で、私は、やつの胸ぐらをおもわずつかんだ.
(ピエトロは、美男だが、身長は私より低かった.一見すると、弱い者いじめの図である.)


そのあと、私は、無言で抵抗しないピエトロに誘われ、冬の戸外に出た.


二人とも押し黙って、コートのポケットに手袋の手を入れて、肩と肩をぶつけるように並んで、暗い雪道を延々と歩いた.

彼は彼女と終わったきっかけの数々をぼつぽつ話し出し、

そこには、私の日本人の恋人との別れとほぼ同じ事情と理由もあり、

気づけば、私たちは雪と氷で白く光る夜道を熱込めて語り歩いていた.


恋愛の終わりは、


国の違いを越えて、


どこでも同じなのかもしれない.





── おれもつらかったんだよ。


とやつが言い、


── そうか、そうだろうな.


と私も言い.


私たちは握手をして抱擁しあった.





イタリア人には、恋愛は重要なことなのだ.スウェーデン人にとっても、恋愛は人生の最後に至るまで営むことなのだろうが、

イタリア人にはまたそれなりの、スウェーデン人とは異なる営み方があるのだと私は理解した.



ピエトロは、その後、美しいスウェーデン人娘・Sophia を恋人にした.
ソフィアは、イタリア美術を専攻していて、まさに、ぴったりの間柄だった.

私は、帰国するピエトロから、彼がイタリアからスウェーデンまで運んできたエスプレッソマシンをもらい、

シチリアに来てくれ、と言われた.



地中海にも、



やつのいまの恋愛を見に、



いずれ行かねばなるまい.




dlf





(20120407)
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