佐野洋子さんの白猫
- 2014/08/02(Sat) -
夜中に、猫がわき腹にはりついているので目覚めた.




* * *




『100万回生きたねこ』 のスウェーデン語訳をいまから12年前に日本にもってきたときに、




「めずらしく」 佐野さんが人に会いたいと言っている、と版元が言うので、指示されるまま東京郊外のお宅を訪ねたら、




佐野さんは白い猫とふたり暮らしであった.




その、佐野さんの家の白い猫は、私の胸に乗って一晩中、白い艦船のようになって寝ていたのに、




いまのうちの猫は、私の胸に乗ってくることはない.




私があのころのほうが若くて肉づきがよかったからか.猫の趣味の違いなのか.





テレビと蜜柑の炬燵で、昼食夕食の間もずっと初対面の私の横になぜかその白猫がいたので、




佐野さんは、




「ほしけりゃ、その猫やるよ」
(これは私の文体ではなく、その時の佐野さんの言葉そのままである.)
とおっしゃった.




無論、スウェーデンから一時帰国した私が猫をもらえるわけがない.




西暦2000年冬のことである.





もう、あの白い猫も、この地上にはいないであろう.





もしかしたら、佐野さんも100万回ねこと同じように、白い猫のあとをおってゆかれたのかもしれない.





あの人なら、100万回でも生き返り、どこかでいまも涼しい顔をしていることだろう.






瞑 目





朝まで、独りで眠ろう.





k

(20120405)
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