私は、スウェーデンの大学寮のコリドー生活で、あの国民の恋愛の仕方を学んだ
それは、スウェーデン人の男女の恋愛の成り立ち方、営み方を、イタリア男の恋愛やフランス娘の恋愛や、中近東の民族や中国人の恋愛などとともに見る機会があったからだ
スウェーデン人の恋愛に、お金や施設はいらない
コリドーで毎朝毎晩顔を合わせ、何気ない会話をしているだけで、そう、しいていえば、深夜たまたまみんな寝てしまったあとで、Xファイルとかを並んでTVの前で観るような経験だけで、深い精神的な結びつきが形成されるものだった
そうしてできた結びつきは、日本の若者の多くがするような、宴会のあとの流れでできた関係とか、告白、というものによってできた結びつきよりも強固なもののようにおもわれた
それは、これを読む日本の人々にも思い当たることだろう
はっきりとした出来事なしでも、ゆっくりとしずかに形成される感情関係の確かさは
スウェーデンに行く前は、私もふつうに、自ら苦痛を求めて彷徨う性急な魂だった
ゆっくりと、 求めず、 それでも、できあがるものに身を任せ、 確かに自分を磨く
ただ、それだけのことで、スウェーデン人は、(離婚が多かろうが、初体験が早かろうが、血縁のない親子がいようが)
豊かな愛情生活を営んでいるのだ
冬がどれだけ深く長かろうと
スウェーデン人は、その豊かな愛情生活のゆえに、
あたたかく生きているのである

20101102