義務教育期間の英語教育について 《夢中問答》
- 2010/02/03(Wed) -
ベッドを替えたら、その晩、妙にリアリティのある夢をみた.以下、そのだいたいの顛末を下に記す.私と、ある児童英会話学校の経営者との会話である.


* * * * * * * * * *



私が私の教え子である中学2年の少女と歩いていたら、向こうから、彼女が小学校時代に通っていた児童英会話学校の経営者(以下 「英」 と略す)がきた.生徒にちょっとコンビニで時間をつぶしているよう言って、私は彼と舗道で話し始めた.


私: いよいよこの島にも、義務教育期間の英語教育についての議論が出てきましたね。

英: ええ、これから、私たちもいっそう忙しくなればいいんですがね。

私: でも、幼児や小学生にいったいどんな英語を教えているんです?

英: 日常生活で使うようなこと一切ですね。あとは、英語の遊びとか歌とか。

私: 日常生活っていったって、子どもが英語を使って八百屋で買い物するような場面はまずないでしょう。
  無駄なことじゃないですか?

英: あははは、私たちの趣旨は、意識が暗記の努力をする前の年齢で自然に子どもが日本語を習得していくように
  英語も習得していくための環境をつくっていく、ということですよ。

私: 私のところに、そうやって小さいときから英語を勉強してきた、ということで自信満々で来た子がいましたが、
  中学の英語のテストなんかでは別に目立たず、成績も4どまりでしたよ。

英: おわかりになってませんねぇ。その子が英語を実地に使うようになったとき、大学か、就職してか、その頃に、
  幼いときに耳に残ったものがよみがえってくるんですよ。学校の文法のテストなんかこそ実地で意味ありません。

私: そうですか・・・そんな未来を予想して教えていらっしゃるとは・・・ああ、私は、いわゆる受験の英語しか
  した経験はありませんが、大学の頃、アメリカからの留学生とつきあっていたら、1か月で彼女が早口で口喧嘩を
  しかけてきてもそれに同じスピードで返せるくらいに会話が急激にできるようになった経験があるんですよ。あの
  ころ、学校で習った 「英文法」 のさまざまな知識が頭脳で瞬時に発話となって出てくる自分を体験しています。
  だから、外国語会話は、それが必要となった時にできるようになるものである、というのが私の考えですが。
  それまでは、学校の勉強をしていればいい、とね。

英: それは、あなたはそうだったかもしれないが、だれにもあてはまるとは限らないでしょう。だれもが、学校の
  英語を高いレベルで習得して大人になるわけではないんですから。それに、英語はそうやって日本人は学校で、やれ
  文法だ読解だと習いますが、それ以外の言語はたいてい大学になってからでしょう。その時に、急速にその言語
  に通暁するには、やっぱり、音声を肌で感じるという体験が必要になるはずです。

私: 私も、スウェーデンに4年いた間に、スウェーデン人たちと暮すなかで、スウェーデン人からスウェーデン語を
  スウェーデン語を使われながら教わった経験があります。それで、半年後には、スウェーデン語で論文も書いてい
  ました。日常会話はたぶん、1か月もかからなかったでしょう。ですから、肌で言語を習得する、というお言葉は
  理解できます。

英: ふうむ、まあ、それもあなたの特別な状況があってことかもしれませんがね。しかし、いずれにせよ、私たちは、
  日本にいながらにして、あなたがスウェーデンで体験したような、あるいは、あなたがアメリカ人の恋人と体験
  したような状況をつくって差し上げているわけです。

私: それを日本でやる必要があるんですかね。こういっちゃなんですが、たかが、一日数時間のものでしょ? 
  全身全神経がその言語に漬かりきるような状況ではないじゃないですか。

英: だれもが外国に何年も留学できるわけじゃないし、だれもが外国人の恋人をもてるわけじゃないですからね。

私: それに、その外国人教師にしても、ほんとうに英語のネイティブなんですか? つまり、生粋のアメリカ人か
  イギリス人、譲ってオーストラリア人やカナダ人くらいまではいいでしょうが、英語を話せる、というだけの理由で、
  この島に多いドイツ人やフィリピン人などを使ってないですか?

英: 国籍は確認済みです。

私: 国籍なんて意味ないでしょう。代々のアメリカ、といってもアメリカには歴史はあまりないが、先祖代々イギリス人か、
  ということです。 △△中学校の会話教師は、フィリピン人だというじゃありませんか。それに、その人の学歴、
  教養もまた重要ですよ。

英: 日本人が教えるよりはよいではないですか。
  それに、その人が故国の学校でどんな成績だったかとか、その学校のレベルは、とかは確かめようがありません。

私: 教師というものを甘くみてませんか? 音の微妙なニュアンスを、それこそ、あなたが言うように、生徒はいつまでも
  記憶しているものです。フィリピン人の発音を耳に残すことが、何年か先を見越しているあなたたちの考えのなかに
  入っているとしたら、まあ、こういっちゃすみませんが、ばかなことだとおもいますよ。それに、生徒は、教師の
  人格教養から学ぶものでしょう。

英: どうやら、私の考えが通じないようだ。

私: お引止めして失礼しました。ゆめちゃん、行くよ。


私はそうコンビニ店内で立ち読みしている生徒に声をかけると、また歩きだした。生徒を島で唯一の書店に連れていって、そこで、さまざまな参考書を見ながら、どれがどの点でよく、どれがどういうふうによくない参考書かを教えながら、彼女に最適なものを選らばせるためだ。まあ、所詮は、インターネットで私が勝手に注文することになるんだが。


その後、私は、生徒と歩きながら、
「アメリカにはね、当然アメリカで暮らしているんだから、英会話、はできても、書類が書けない、新聞が読めない、という人がいっぱいいるんだよ。きみたちも、くだらない会話ができるようになったからって、英語ができるようになったとおもってはいけないよ。英会話は新聞も読めないバカでもできる。それより、受験問題に出るような長く込み入った意味のある文章が読んでわかったり、英語で大事な相手によいメールが打てたりする力のほうが高いレベルで重要なことなんだ。だから、とりあえずは、まあ、しっかり学校の勉強をやるんだね」
と話した。生徒は微笑んで頷いた。



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