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字幕嫌い、あるいは、「欠陥翻訳時評」賛
- 2013/10/28(Mon) -
私が高校生時代に愛読していた(株)研究社の雑誌に、


上智大の別宮貞徳先生の 『欠陥翻訳時評』 という記事が毎月掲載されていた.


高校生だった私は、


先生が理詰めで 「誤訳」 と断定した個所のみの記事であるにせよ、


世間の翻訳とかはこんなに阿呆な人たちが従事しているのか、ホントかな、などと、


多少は眉唾で読んでいたものだった.




その後、私も、外国語の道に進んで、


別宮先生の記事は、たぶんに理性で抑えたものであって、


短気な私だったら、



こんな阿呆どもに原稿を頼む編集者もド阿呆だ!



などと怒って文章さえ書けない世間事情であることがわかった.



私は、英語とドイツ語とスウェーデン語ほか北欧語がそれなりにわかるので、



もうそれらの翻訳図書は読まないものの、



映画は仕方なく字幕を読まざるをえないこともある.



明確な誤訳などでなくとも、根がせっかちな私は、単に、訳語が脈絡にそいきっていないだけでもイライラする.



アメリカでリメイクされたスウェーデンの少女ドラキュラの映画でも、



少女が親しい少年に自分がドラキュラであることが少年の出血でわかってしまった場面で



字幕は、"Försvinn!" を 「早く行って!」 と表しているが、



当然、その意味は、「私の前からすぐにいなくならないとあんたの血を吸っちゃうよ!」なのだから、



「消えて!」


とその単語の基本の意味通りに訳せばいいのだ. あるいは、「私の前から消えて!」.





少年がチラシ配りをするから、と少女の前から去ろうとしたときの少女の



"Tjärnar du pengar?" も 「バイトしてるの?」


だが、「それってお金になるの?」 が文脈からして正当だ.そのあとで、少女は札束を差し出す.






こんな程度で映画に没頭できない私に比べれば、



別宮先生の記事は、理詰めで、完全な 「誤訳」 だけを指摘していらした.



私は上智に進まなかったし、先生にもお会いしたことはない.




しかし、



私も翻訳書を遺した.





いつか、先生にどこかの世でお会いしたら、




若いころの私によき薫陶をくださったお礼をいくらしてもしきれない.








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これだけでも
- 2013/10/26(Sat) -
きょう、街で盲導犬を見た.





偉大な お犬さま、  と思わずつぶやいていた.







我らの多くよりも立派である.






胃の腑まですがすがしくなり.







立派なもの、すばらしきものは、まだまだ世界にあるものなのだ、当たり前だが、またわかる.





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微小なる
- 2013/10/17(Thu) -
胸が潰れるような悲痛をこんなに経験しているのに、



私はまだ生きて、仕事に今朝も行こうとしている.





そういう点では、



私も、あの偉大な母猫たちのように、




自然を体現しているのだろう.




われら、




おそれもよろこびも抱くことなく




過ちや成功に心動くこともない




この地上の微小なる生物のひとつのものとして.





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偉力
- 2013/10/06(Sun) -
私がスウェーデン帰国後、仙台から東京に移ってから、




週末親をしていた娘は、




その携帯電話の待ち受けに、




私の住まいのドアを写していたと、後日その母親から聞いた.





いつ撮ったのか、どんな気持ちで撮ったのか、





子どもの動作と感情は、





どんな偉大な芸術家の作品にもひけをとらない.





結婚もせず、子どももいない私にとって、





ともに過ごした子どもはかつて二人、





このサイトの 『授業参観』 に書いたアキラと、この娘だ.





たぶん、いつか、自分の子どもを、ありえないが、もったと仮定したとしても、




彼、彼女、以上に私を慕ってくれる幼い魂を想像できない.いや、彼や彼女と同じようにともに生きられれば、




私は幸福なのだ.





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- 2013/10/06(Sun) -
きょう、



日曜で、




私がずっとごろごろしていたからか、




この秋




初めて、猫が私の股間で眠り始めた.冬じゅう続く習慣である.春前にやめていたのに.




沖縄にも、秋が来た、ということなのであろう.




スウェーデンでも、いまごろ、中部では、初雪が舞い始める.
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偉丈夫
- 2013/10/04(Fri) -
久しぶりに病院に行った.




夕診時間である.




さらに大型台風が翌朝未明に島を直撃する、というときであった.




私の例の内臓の薬を、飲まないでもいいや、とおもって滞っていたところをもらいに行ったのだ.




* * * * * * * *



医師と無沙汰のあいさつをして、会計を待っていたら、



車椅子の入院患者が自動販売機に来た.私のすぐ横である.



彼は私より年長で、よれたパジャマと寝癖のついた頭と無精髭であった.



百円をいれて自販機を見て呆然としている.



30ある自販機の品物のうち、百円で購入可能ランプがついたのは、水とポカリスウェットの小さなボトルだけだった.



私は、彼の左脚が膝から下ないことに気づいた.



そして、頭にも障害が?……などと心配になった私は、彼に、「この二つが買えますよ。どちらですか。私が押します」と尋ねた.



彼は、「おれがほしいのは右のほう」



と言ったので、私は右側の清涼飲料のほうのボタンを押した.



しかし、落ちてきたボトルを見て、彼は、「ちがう。おれがほしかったのはオロナミンCなんだ」
と述べた.オロナミンは最上列右端であった.



「右端」 を 「右のほう」 という語法はありうる.誤った言い方ではない.



私は自分の過失を認め、しかし、



「あなたが入れたのは百円ですから、水とそれしかランプがつかなかったんです。オロナミンは百十円です」



と述べた.彼は私の言うことの一部だけに価値を認めたのか、自分の車いすの座布団の下をまさぐって百円硬貨を探しだした.



「これはあんたにやる。ええと……、買うつもりで、百十円あるはずなんだが……」



「あるんですか」



「十円ある。ちょっとみてくれんか」




片脚のない彼を持ち上げると、尻の下に十円硬貨が座布団の上で恐縮していた.



彼はそれを追加投入して、無事に所期の飲料を買い求めた.



「これはおまえにやる」 さらに彼は最初に買ったものを私に突き出した.



「いいですよ。だれかお見舞いに来た人にでも」



「いいから!」



年輩者にこう言われたら、従うしかない.




名前を呼ばれたので会計に行ったら、受付の女性が、「あのおじさんやさしいから」 と私に微笑んだ.




私は彼のところに戻り、小さなボトル飲料をもらい、彼の名前と病室の階をきいた.





「台風が来るんだろう。クルマが走れなくなる前に、あんたはもう帰れ」




私は辞儀をして 「それでは、また」 と背を向けた.




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あるスウェーデン人男性の恋愛 -brave heart-
- 2013/10/02(Wed) -
『ブレイブハート』 という邦題の映画は、つとにご存知の人もいるだろう。だから、ここで動画ショートカットは掲示しない。

私がスウェーデンでの学生だったころ、

「(英語の)『Brave heart』 こそ、最高の映画だよ!!』 と言った男がいた。

彼は、私と同じコリドーに住んでいて、私の向かいの、同じスウェーデン人女性を愛していた。

しかし、彼女には、年上の、立派なヒゲをたくわえた恋人がいた。


恋人は、よく彼女の部屋に泊まり、共同キッチンで高価な食材を派手に料理して彼女と人目もはばからずに食事していた。そんなとき、例の彼は、部屋から一歩も出なかった。時折、彼が赤い顔をして廊下をさまよっているのを見たものだ。


クリスマスが来た。
コリドーもお祝いの時だ。
彼女は、コリドーの全員が集まるパーティを企画した。無論、私の隣人は参加の義務があった。
その上、彼女の恋人は、「ゲスト」 として来訪した。

本来大柄な私の隣人が、そのパーティの間、うつむき通し、いかに小さくなっていたか、ご想像の通りだ。




その後、その女性が、私の隣人を、ある夜訪ねた。彼女が彼の部屋から出てきたのは、翌日の昼過ぎだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆


これで、スウェーデン人女性の性意識、とかを語るのは公平ではない。

また、これで、スウェーデン人男性の性生活、を語るのも正しくない。



私は、ただ、私に、映画 『ブレブハート』 は最高の映画だ、と教えてくれたスウェーデン人の男友だちの恋愛のあり方が、このようだったとここに書くことで、わかる能力のある日本人に何かをわかってもらいたい、とおもうだけのことである。


彼の名前は…、もはや私は覚えていない


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(本記事は2008年3月30日に書かれた.)


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