風土による条件反射
|
- 2007/12/08(Sat) -
|
日本の豪雪地帯を舞台にした映画を観た.
色彩は、白と黒ばかりだった. 肌にひんやりする冷気を感じ、孤独感と行動の不便さの感覚とともに、 なぜか、頭脳を使いながら机に向かっていることの愉しさも思い出した. 昔、高校の時代に、倫理かなにかの先生が、哲学者・西田幾多郎か 和辻哲郎かの話をしたときに、「雪の深い土地では思慮深い人が生まれるのか」 と呟いていたことをおもいだしたりもした. スウェーデン・ウプサラでの4年余りは、 私が人生で最も頭脳を駆使していた期間だった. そこは、寒気と氷と雪と、窓辺にクリスマスの赤い装飾と、蝋燭の黄色い光、 色彩といえば、それが象徴する土地だった. マーケットに行くにも、 スウェーデン軍払い下げの軍用自転車のタイヤが埋まる雪をけちらして 吹雪の中を突っ切って行ったものだった. 若者は、みんなそんな生活に慣れていて、 私もまた、性分に合っていたのか、すぐにそれを愉しくさえおもうようになった. 親友と、冬から毎朝新聞配達もした. 曇った極寒の朝も、配達のあとでは、すがすがしかった. 日本を出る前は、 「日本人の若者は、たいてい、あの暗く寒い冬でいやになるものなんだ」 と北欧の専門学者に冷笑されていたものだったが・・・^^ (「専門家」 はどこでもそうだ^^) そこから一転して日本の南の端の離島に来てみた. この夏は、極力冷房を使わないで生活しようとしたため、 頸を流れる汗であせもができたりしたが、机に向かっての生産は・・・あまりできなかった. 件の低劣なNPO団体から出て引っ越しをしたりしたから、 それで忙しかったというのもあるし、小型船舶やクルマやダイビングの練習をしていたこともある. しかし、私にすれば、何年ぶりか、数十年ぶりかで、机に向かって何も生まない夏だった. ほんとうに、寒い土地のほうが、人は頭脳が働くのか?? 私に勉強を教えてほしいと来る、島で最優秀の高校生たちも、 センター試験模試では、全国平均にも満たない. それでも、県内有数の名門校なので、医学部推薦枠に入っている. 彼らは、土地のせいで、試験ができないのか?? 「土地」、それは、気候ばかりでなく、人々の意識、もまた含む概念だ. 学校の教師も、きちんと教えていないことは、授業でどんな説明を受けているか生徒に尋ねてすぐわかった. そんな土地、南の離島にも、他の土地と同じく冬が来た. |
| メイン |
|